甍/黒川排除 (oldsoup)
 
傾く太陽のくべる徒労を手に甍熱された地面の上を甍ため
らいながらうろつく思念が甍所産の苦しみを抱いたまま燃
えている甍その明かりを糧に生きるもの悲しさに甍うすぼ
んやりとした甍理屈の通らない下水道が塞がれる甍不健全
な色をした土は足ばかり多い幼虫を育みながら甍まだ見ぬ
熱気を快楽の方向へ導く甍だが待ちきれぬ年寄りの群れは
甍皆その土に伏せて屍を晒している甍すべてを見る事はで
きない甍すべてを見る事は誰にもできない甍地面に叩き付
けられた鳥たちは甍鳥瞰の嘆きを歌にできずに死んでいく
甍誰もが知りたかった事をすべて知りながら死んでいく生
き物に今甍英知とハサミが敬意を払う甍喉笛は切り取られ
て食される甍しかし咀嚼の度に聞こえてくるのは甍残酷と
罵る良識ある声ばかり甍が燃えている甍が燃えている甍が
燃えている甍誰もそっちの方は見ないのか
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