無人駅のひと/
恋月 ぴの
わたしの連れ子をあなたの忘れ形見と勘違いでもしているのか
嘲るような薄ら笑いを浮かべていた
(7)
ねぶた祭りのポスターの掲示してあった壁には
画鋲を差した痕跡ばかりが目立ち
ひとの手の入らなくなった駅舎は今にも崩れ落ちそうで
ひび割れたホームではセイタカアワダチソウが蒸し暑さに揺れている
見上げれば夏らしい雲が梅雨明けの空に浮び
あなたの知らない男との子供がわたしを呼んでいて
ひとつの夢の終わりにあなたの好きな向日葵を一輪手向けた
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