レスポンス、/れつら
ないようにしているが生きていくためにはそうも言われずせめて仕事場までは日陰を通り歩く。暑い日でもスーツを脱ぐわけにもいかず歪んだ背骨の両脇の筋肉を時折撫ぜながら地下鉄に乗るとようやく安心するのだ。座席は硬く私を真っ直ぐに固定し正面には無数の人が順繰りに視線で私を保ってくれる。私の後ろには窓がある。しかしそれは私とは関係しない。
#むかしのこと
いつだったか
母の
空いたグラスに焼酎を、すこし、注ぐと
「あんたも
いつか、なんとかしてこの人だけは
守ったらなあかん、ていう人が
できるかもしれんし」
と
呟いて
グラスでは
生ぬるい酒が
氷と、汗
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)