もんしろ/「ま」の字
 
夏が来て
ちいさな歩道に
気のはやい病葉が舞いだすころには
わたしはもう
いないかもしれないけれど
いまはやわらかい
光のなかを飛んでゆくわたしを見てください

(きっとあなたは
 私のことを忘れてしまう)

けんめいに羽をひるがえすわたしを見て
あなたはただ わらってください
かわいいねと
無邪気にわたしを 指さしてください

 この粧いも羽もぼろぼろになり
 疲れ切って死ぬときには
 けっしてあなたの近くにはおりません

いいえあなたがわたしをみてよろこんでくれるのが
ただ とてもうれしい

ほら、今にもあなたの
指先にとまりましょう
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