雨の日にいっぱいの、におい大会/RT
教室の窓から
くもりぞら見上げて
君はつぶやいた
「雨のにおいがする」
君の予言を受けて
ほどなく雨は降り始めた
放課後
よくわかったね、と言いたかった君の
姿はもう、教室になく
帰り道
制服の紺色やアスファルトの色を濃くする
雨の
においをひとり
包まれながら追いかけた
あれから、誰よりも早く
降る前ににおいを探すことを
誰を相手にするでもなく競ってきたけれど
雨音に気付いて落胆する
卒業までそのくりかえし
いつでも僕は遅すぎた
試合終了のピストルに跳ね起きて
試合参加の意志も
伝えられずに
ポエニーク内 即興ゴルコンダより
(2008/04/26(Sat) 00:20:43)
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