海へ行こうか/
板谷みきょう
海へ行こうか 人魚に逢いに
森に棲むことしか 知らなかったから
見上げた空から降る 見下した雨に打たれていた
虚偽の満ち引きの 浜辺を 彷徨いながら
脚萎えの君と 出逢えたことが 救いだった
月の囁きと 星の瞬きと
潮騒の闇に 包まれ 抱かれながら
脚萎えの 人魚を探しに
海へ行こうか
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