あざだらけの腕/
chocoa
呑み込まれた海の底で
震えが止まらなかった
何に触れても感触がない
ただ見えている
「あざだらけの腕」
うねり狂う満月の夜
僕は身を投げ出した
目を瞑った数秒
花瓶を落とすように
世界はバラバラになった
許されていたのは
許しを乞うこと
けれどもう
どんな音も聞こえない
僕はまだ生きてる
ただ二度と
口を動かさなくてよくなった
そして遠くに見えている
あざだらけの細い腕
棺の蓋を閉める
それが僕の最後の役目だ
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