ショートショート/花びらと仔犬/いすず
花びらと仔犬
ある時、僕がお散歩に行くと、花の中で仔犬が眠っていました。
ここちよさげにすやすやと眠っていました。
僕はそっと見詰めて、去っていきました。
それから僕は、散歩中にその仔犬のところへ寄るのが日課になりました。
仔犬はいつもお花の中で、心地よさげに眠っていました。
ときにはかた耳を垂れて、かわいくまるくなりながら。
ある時、僕が立ち寄ると、仔犬は起きて、目を覚ましていました。
こんにちは。僕はあいさつをしました。
お花が枯れてしまったの。
仔犬がかなしそうに、しっぽを垂れていいました。
お花が咲いてる時間だけ眠れるの。だからもう、眠れないの。
君
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