ドロップバニッシュ/秋也
ゆっくりと回転する火の輪が
時間を飲みこみ
星を凌駕し
空間を閉じ込める
彼は絶えず動き
絶対的であることを畏れ
凍えた完全停止を頭にチラつかせる
輪の中を焼かれながら這いずる
トカゲたち
輪の外で鱗紛を炎で焦がしながら
それでも飛ぶ億万匹の蝶たち
お前たちは野生そのものなのだから
生きればいい
美しさとは
這いずることでも
飛ぶことでも
停まることでもない
寄りそうことだ
それならば
火の輪の中で三匹のトカゲが一斉に舌を出し
ただ一匹の蝶を狙う
今がその時であり
それならば
私も火の輪の回転に寄りそい
醜くも生きるとしよう
誰もが凍ることに憬れ続
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