灼熱する/楠木菊花
ひとりでに白熱する夜にまたがる
こんなときは
陽は昇らないものだと思い込んでいた
あらゆる許しを請う前に
あらゆる罪を犯したがる
あの人もわたしも
どうしても何故と思わない
夜は夜だよ
暗がりでも闇でもない
みんなはそれらを全て
同じだとしてしまうけれど
明るみに出られない言葉を隠すには
夜でも闇でも暗がりでもない
ただ安穏とした混沌へ投げ込めばいい
誰のためにでもないよ
わたしは大きなレコードから言葉を手繰り寄せているから
あなたの心でも
わたしの言葉でもなく
漂っているだけの思念を掬い取っているだけ
理由を知りたがる前に
理屈を作らなきゃ
わたしじゃ
生まれる前の原因には辿りつけない
恐ろしいほどに
速やかなる言葉
わたしの体をすべって
どこまでへでも
だってわたしは言葉で人を殺すの
だってわたしは言葉で人を愛すの
だってわたしは言葉だけで息を吸うの
言葉以上の言葉をくださいよ、ねえ
くださいよ
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