夜と羽/木立 悟
 




誕生がある
触れずとも知るかたちがある
ざわめきの道のかたわら
夜を照らす骨に集う


晴れの下の輪
飛びたとうとする硝子には
溝を泳ぐ矢印がある
従わぬ背のまたたきがある


窓の鍵にだけ映る鳥から
うたがひとつそよいでいる
熱は冷めてゆく
路地には 小さな波がひしめく


蜘蛛の巣を揺らし
道は息をつく
曇を指さし 壁をすぎる
雨を連れ 足跡に降りる鳥


石のむこうの石の響き
既にそこにたたずむもの
訪れともつかず訪れる
知っていたはずの影のかたち


何も見えないまぶしい夢から
くりかえしくりかえしくりかえし覚め
ゆうるりとふちどりをたしかめながら
息の羽を歩んでゆく


















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