金魚の思い出?/板谷みきょう
少し精神を病んでいるように
いつも 奇抜な化粧をし
当時 流行していた黒尽くめの少女
あたし
ダンサーになる為に上京するけど
あんたの歌が
あたしの住む街でも聴けるかしら
くねくねと身をよじり
そう言って
少女は姿をくらました
数年後
大人の女となって
踊っている彼女を観た
真っ赤な唇を喘ぐように
ぱくぱくとさせ
くねくねと肉体をうねらせて
地下の水槽のような舞台にいた
<劇場の ライトに照らされ 身をよじり ゆらゆら泳ぐ 踊る金魚>
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