振 動 (bibration)/
るか
○
何処も廃墟ではない、寧ろ、廃墟のなか
で咲き匂う幼い花々の精気を感じている、
この夜に。満ちたり欠けたりを矢継ぎ早に
繰り返す、月明かりのようなおまえの体の
温もりを抱いて、吐き出した唾が淡青色に
光るのを見ていた。ナイフはいらない、時
限装置も衝突する民間機もいらない境地に
たって、何処も廃墟ではない…そんな世迷
言を何遍も呟く、その瞬間にビル群は崩落
する。ラジオからは戦地の自由放送が
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