孤独なひと/恋月 ぴの
 

単なる事故なのかそれとも事件なのか
探り出そうとする白い手袋が蠢いていた

独身の中年男性だったらしい
かなり以前から病気がちだったらしい
数日前から会社を無断欠勤していたらしい

死と言う現実さえも憶測の海に漂うばかりで

眠れぬままに携帯をいじっていると
窓を叩き割る消防士の姿
そして
撮っていないはずの担架で運ばれる遺体が写っていて
それはわたし自身だったことに気づいてみせる



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