神社とチャーリー/吉田ぐんじょう
 
噂もあった

きっちり折り畳まれた紙をひらくと
漢字ばかりの文章で
いつも似たようなことが書いてあり
境内の木に結び付けようとすると
すぐにやぶれた
たまにチャーリーが
ヘイ か何か言って
わたしの手の届かない高いところに
上手に結んでくれたりした
さ さんきゅう と言うと
へらへらと笑った

確か待ち人は来る
と書いてあったはずだけど
未だにわたしのもとには誰も来ない

あれからもう十年以上経つ

チャーリーはもうブラジルに帰っただろうか
あんなロリコンのままお爺さんになって
まだへらへら笑ったりしてるだろうか
別にチャーリーに来て欲しくはないけれども
たまにわたしを思い出してくれればいいな
と思う

あの蒸し暑い変な国の
いやにでかい女の子は
もう大人になっただろうかと
考えていてくれればいいと思う

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