たかが私の/佐々宝砂
たかが女の髪ひとすぢ と
スウィフトは(そういえばドジソン先生も)
書いておられましたが
粉砕され漂白された木質繊維にさえ
人の思いこめられるものならば
かたちもDNAもとどめたこの動物性蛋白に
その持ち主の思いこもるのは
理の当然でございましょう
さて昨年の晩秋のこと
私は思い立って剃髪し
百円ショップで毛糸を一山買ってきて
その毛糸と自らの髪を縒りあわせ
ざっくざっくとセーターを編みました
それから私は庭に出て
真夏に刈り取った草木
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