そぐわないもの/綿花
 
そぐわないものに心惹かれるのです。

アスファルトから伸びるたくましい雑草や、
青々と茂り視界を遮る街路樹や、
花束の中で枯れてしまった一輪の花に。



その景色に溶け込んでいない存在だから、
気が付くのです。

気が付くから、
意識するのです。

意識する内に、
愛しく思うのです。



アスファルトの亀裂に気付かないわたし。
いつもそこに在る街路樹の名前を知らないわたし。
花束から枯れた一輪を抜き取るわたし。


その景色に溶け込んでいた時は、
それらは風景の一部に過ぎないのです。



そこに在ることが“当たり前”の時には
気付け
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