今日を雨は濡らして/たりぽん(大理 奔)
街を濡らす雨
叩いているか
あらゆるリズムで
冷たい夜半
霧雨を縫って歩く野良犬
おまえは傘
あらゆる名前を拒んだ空との境界
捨て去ってもその姿に
切り抜かれた水溜まり
この皮膚の外側に
はみ出てみたい
指先から、のど元から
触れるより深く
声、野良犬の輪郭を
叩いているか、冷たい夜半
濡らす雨が溶かして暗闇と
ひとつになる、声
私を獣のかたちにするもの
皮膚、の外に
染み出す名前拒んで
捨て去るとき
今日、街を濡らす雨
野良犬の形の水溜まりに
半端に開いた傘と
立ち尽くす夜
叩いているか、あらゆるリズムで
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