公営住宅/1486 106
 
カラオケ帰りの深夜二時
車を止めてエンジンを切ると
無音の空間が一面に広がり
取り残されたような気分になった

駐車場から歩いていると
自分の足音がはっきりと聞こえた
その時僕は思い出したんだ
いや初めて知ったのかもしれない

遠くで響くサイレンや
クラクションや暴走族のマフラー
普段ならうるさいと感じるものも
こんな時間なら安心できる

ドアを開けても誰もいない時
真っ暗な部屋のスイッチを点ける時
シャワールームで目を瞑る時
不意に孤独が襲い掛かる

こんな時は誰かと話したい
だけどただ電話が鳴るのを待つだけ
久しぶ
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