詩人のシノギ(上田 敏の巻)/みつべえ
それにつづいて
「従ってあいまいで、時には反対の感情すら共存し、多価多義を内に持つ言語であり、同音のもつ多くの意味を自由に解釈することを許す。すべての解釈は、どれも同じく一つの真実であるから、その一つを自分の気分や、 気質に応じて選べる。作品の持つ暗示の力が、生命の目覚めと自然の 奥深さを 教える。それは現ならず美しく、暗示的で束の間にうつろい、たえず変化し、 同じ形のままでいることはない」
とある。これを煎じ詰めていうと、象徴主義による詩とは言葉を「意味」を通してではなく、いきなり感性に訴えようとする、シンボルとしての言語芸術ということになる。19世紀後半、それまでのロマン主義や
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