詩人のシノギ(上田 敏の巻)/みつべえ
の記事として知られている。明治37年(1904)にヴェルレハーンの「鷺の歌」をはじめて「象徴詩」として紹介。翌年、当時のヨーロッパの新しい詩人たちの作品を翻訳紹介した「海潮音」によって、象徴主義の旗手となる。日本の新体詩の隆盛が、明治30年(1897)の「若菜集」(島崎藤村)、明治32年(1899)の「天地有情」(土井晩翠)をもって天井を打った観があるだけに、象徴主義の影響は新体詩に最後のはなやぎをもたらしたように見える。
※
では、象徴主義とは何か。「海潮音」の序文にも、
「象徴の用は、これが助を藉(か)りて詩人の観想に類似したる一の心状を読者に与ふるに在りて、必らずしも同
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