「喜びのかたわらに悲しみはあって」/ベンジャミン
 
です)

なのに僕には何も見えていない
ほんの一瞬の眩しさも感じない
ただなめらかに滑り落ちてゆく
ことば、ことばの影
追いかけて、追いかけてもまだ
僕はなにも感じないままでいる

(あなたのまぼろしが見えます)

・・・それはしあわせです、刹那
僕はすくわれているのかもしれません
喜びのかたわらにある悲しみを
忘れることができるから
あなたの細いゆびさき
から、あなたのおと
しばらくしたらそれさえも消えて
・・・それはさびしさです、刹那

喜びのかたわらに
いつもあなたは微笑んでいる
あなたはいつも泣いている
悲しみのかたわらで
だから、僕も

すべてを感情にゆだねて
たったひとり

盲目のまま

(喜びのかたわらに悲しみはあって)

あなたのひくピアノに
耳をすませて

たったひとり
だから

その楽器をひくのをやめないでください
   
戻る   Point(7)