参列者たち/かいぶつ
 
僕には血が流れている
妻を残して死んだ人の血が
憎しみを腹に据えたまま死んだ人の血が
消化できない思いを残したまま
死んでいった数千、数万人の血が

マンホールから洩れてくる
地下街の音楽のように
僕の体内を静かに流れている

僕はその死んで間もない
兎のように生温かい血を
手の甲から指でなぞってみても
僕と笑い方が少し似た
彼らの慰めにはならない

僕の遥か後列は
延々と続く死人の行列
名も顔も知る由はないが
彼らの事は知っている

ほら、この手の皺、この仕草
この考え方、この弱さ
彼らが手渡ししてきたものは
生き方の癖と好み

僕は彼らの善し
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