熱/
たもつ
ジからは次々と鳥が飛び立つので
きみは思い出せない鳥をまだ思い出せない
扉を開ける母親 その背中にも翼
けれど扉の外は空っぽに似ているから
母親は羽ばたきを聞くばかりだ
鳥たちは波となり切り立った崖を侵食し
ブック・ストアから崩落していく言葉たち
そのいくつかが唇に漂着して
またきみの熱となる
レジの奥
卓袱台の前では このまま朝であり続けるかのように
父親がまだ生まれてないきみの名前を考えている
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