梅雨と男女/知恵
雨がしとしとと降り 家の中がじめっとするこの季節が 私はあまり好きではない
肌にまとわりつくようなべたついた じめじめした感じが
絡み合う男女の一時を思い出させるからだ
「好きだ。愛してる。」
ベッドの中で男は言っていた
私は宙を見つめながら
「私も」
と返した
男の言葉が真実かどうか判断することもなく
自分の気持ちを確かめもせずに
ほどなくして男が去っていった時 私は その男の事で初めて泣いた
そして気づいたのだ
私がどれだけその男を愛していたのかを
皮肉なことに、毎年 梅雨が来る度に思い出す
私があの人を愛していたあの時期を
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