世界のごはん/________
少しだけのつもりが
とうとう
未来を飲み干してしまった
すると
なんの音も立てずに忍び寄った
世界が、
きみとぼくだけでできた世界が、
膜を縮めてとらえようとする
届かないとあきらめた空に
今ならば指がふれて
ぼくらのしんこきゅうが雲をゆらす
このままきみと消化されるならいいのに
息が詰まるほど偏ったベクトル群が突き刺さっている
世界がぼくらを食べているよ
ほら 泣きそうになって
さいごまで思い込めたの
現実ということばについては響きさえ好きじゃない
酔っ払って倒れこんだ先が
柔らかくなくてもいいんだよ
腕をひろげて
そう
ぼくら、かっこわるいね
ね
でもいいんだよ
ぼくらはちゃんと知っている
手を繋いで同じ方向を見つめ、ともに歩く慎重さを捨てて
向かい合って視界を狭める危うさをえらんだこと
ぼくの背中はきみに任せたよ
おいで
溶けていこう
髪をなでてあげる
ぼくら、かっこわるいね
よかった
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