ジューン・ブラインド/RT
 
初夏の雨にけむり
辻褄の合わぬ体温が
濡れたシャツから匂い立つ
傘を持たない二人が
軒下で身を寄せ合い
普段なら持ち合わせない
自意識を
濃くしてしまう
今日みたいな雨を
六月の盲目、と
むかしは呼んだらしいと
あなたはいう

そんな話は聞いたことないけれど
私の目は草津の湯でも手遅れで
止まない雨などないなんて
いまは言わないで欲しい

会話の途切れた私たちに
点字の雨が降る
伝えるべき言葉たちは
触れる隙を見せずに地面に消えるから
私たちは世界に目を閉じて
六月の盲目に殉じる他
ないのかもしれない



ポエニーク内、即興ゴルコンダより
(2008/06/12(Thu) 00:51:54)




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