大人になる/相良ゆう
 
らない


大人は社交辞令を尊ぶ
それが年齢や世代や生活環境を超えて
人間関係を維持するために大切な
コミュニケーションの手段であることを知っている

子どもは社交辞令を嫌う
まだ使い方をよく知らなくて
鵜呑みにして恥をかいたり傷ついたり
心にもないことを言うなと不快に思ったりする



大人は許されている
許されるだけの責任を果たしている
それだけの信頼を得るほどに
日々働いている


子どもは許されていない
大人は子どもに責任を負わせない
責任を知らない子どもは
信頼を知ることもない
それはこれから少しずつ
社会の中で学んでいくべきこと

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