許容/かいぶつ
 
僕は椅子に腰かけ
四階の窓から
町の景色を見下ろしていた

窓枠の中では人や車が
あらゆる方角へ規則通りに行き来する
木々の枝葉は透明な風に揺られ
ビルは巨大な存在感で立ち尽くしている
その間を一定の時間毎に
電車が走り抜けてゆく
空は今日も青い

こんな風景を眺めていると
全てのものには当然ながら
それぞれの命があり
それぞれの命との向き合い方があり
それぞれの死との距離感や歩幅
鼓動と息づかい 表情と機嫌があり
僕らはそんなそれぞれの違いを
無意識に黙認し
ひっそりと許しあっているんだと
実感する

僕がこの世を去っても
太陽の塔は挑み続け

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