19才の春/天野茂典
 
ていた。
ぼくたちは途方に暮れたが、それでもバッグを下げて深夜の町の中
に入っていった。とても眠かった。
仮眠がとりたかった。
ぼくたちは町のなかをうろつきまわり、やがて一台の小型トラック
に目をつけた。鍵がかかっていなかったのだ。
ラッキーだった。
ぼくたちはためらいもなく運転席に乗り込み、完全に寝込んでしま
った。
たたき起こされたのは牛乳配達のアンチャンだった。
かれはフロントガラスからぼくたちを睨めつけ声をあげてなじっ
ていたのである。やむなくぼくたちは追い出され、町の隅まで歩い
た。
畑のまんなかに藁が積み上げられた一角があって、ぼくたちは、そ
こをベッドと決
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