19才の春/天野茂典
<冬の北海道>
夏の北海道は、数10回ほど放浪している。
ヨーロッパ旅行よりは楽しい。
けれどもほんとうの北海道の顔は冬にあるとおもわれる。
19才の冬ぼくたちは10000円を持って家をでた。
大学生だった。旭川を目指したのだった。冬の北海道は圧倒的
だった。
ディーゼルカーは雪林を裂いて走った。こんなに沢山の雪をみた
ことはなかった。すっぽり白鳥の翼に包まれているようだった。
42年前のことである。この旅は青春にふさわしい波乱にとんだ
ものになった。
釧路の奇跡
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