む。/
Sa;
そこには、なにもない。
あるとしたら、
なにもない。ということぐらいかしら。
君はベランダの向こうの空を眺めながら
まるで、詩を朗読しているかのような雰囲気で
明日を眺めた。
なにもない。
あるとしたら、
なにもない。ということぐらいかしら。
君は、冷蔵庫を開けて
トマトがないという。
ぼくは、笑いながら
はじめからそんなものはないと
思えば困りもしないよ。
とベランダの網戸を開けた。
この世はないものだらけで
だから、ちょうどよいのだ。
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