罪と罰/プル式
 
はうれしかった
そうして毎日被り続けた

ある雨の夜家に帰ると
人さらいの後ろから少女が抱き付いた
人さらいはどうしていいのか解らず
ただ立ちつくした
少女は人さらいの帽子を掴むと
ぐっと引き下げた
雨に濡れたそれは
人さらいの顔に張り付いた
少女は編み棒を握りしめると
ただ人さらいに突き立てた

法廷で少女は笑っていた
人さらいとの生活の中で
少女は何かが壊れていた
少女は罪は軽いが有罪となった
判決を聞くと少女は命を絶った
死んでしまった少女から
赤い塊が流れ堕ちた。
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