私の町 君の町/横山亜希子
 
お正月に私は父と母とで
私が生まれ育った町へと車で向かった

何年ぶりのことだろう?
十年・・いやそれ以上?
どうなっているのかな?子供の頃に行った
デパートのレストランはあるかな?

私は銀色の宝石箱みたいなカタチの
銀貨を入れるとうらないカードが出てくる
それが乗ってあるレストランのテーブルが
気に入っていた

町に着くなり町の象徴とも言える
製紙工場の煙突2本がそびえ立っている

私を小児喘息へと追いやったこの白黒色の煙・・。
何のにおいかわからない変に生臭い煙
ふと思った 人の死のにおい

車の中で私は思う

出ていく人 入ってくる人
私の町 君の町
町への思い流れ流れて
自己愛へと変わるものかと

過去の時など微塵も感じさせなかった私の町
あの頃の人達はどこにいってしまったんだろう

ただ白灰色のがらんどうになってしまった
私の町を慈しむように私はつっぷして泣いた



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