ネット遊泳/渡 ひろこ
 
たっぷりとあふれんばかりに湛えて
こぼさないように歩く
ネットの海に棲む詩人が紡いでいる
いつまでも色褪せない
磨きこまれたナイフ
のような綴りに痺れ
少しでも掬い取ろうとつかんでも
手のひらには 模造品
の残骸がくだけるだけで



一滴の飛沫さえと
舌をのばしてもとどかず
水面からの
しなやかな
手まねきに惑わされ
自らもとめようと
行間のふちにつま先立ち
目をつむり潔く飛びこんだ
大海原で



きらめく真珠のひと粒を
見つけようともぐっても
吐き出される想いの
膨大な波に押し流され



卵のように
次々産み出される
ブログ
[次のページ]
戻る   Point(23)