ある初夏の事/
プル式
ある乙女の回想は花の色だった
淡いピンクや黄色の中の思い出や
緑の花畑に浮かぶ
白い花と初夏の香だった
乙女はその回想の中
長く艶やかな髪を切り落とした
部屋に散らばった長い髪は
まるで夜の草原の様だった
散らばった髪を集めると
そっと紙に包んで
ごみ箱にすてた。
乙女はもう乙女ではなく
女になっていた
女は窓を開け空を見上げると
洗濯物を干し
暑いわねと静かに呟いた。
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