ぽつり/AKiHiCo
 
紫煙で満たされた部屋
それこそが僕の思考そのもの
何かに満たされたい
そんな考えはもう已めた
今宵も睫に真珠が
幾つも刺さり煌き踊る

腕を伸ばして掴もうとする
逃げてゆく紫煙を追うでもなく
そのまま溜息
何にも満たされる事はない
所詮は他人なのだと
認識した内側では

床で月灯りが揺らめいて
青い世界を拡げてゆく
カーテンは開けた方がいい

満たし満たされそれは紫煙
幻影の淵で藍を飲む
この手で握った宝石は
ぶつかり合って砕けてしまった
けれど。

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