土と鏡(わたしとけだもの)/木立 悟
 
ゆく



雨に染まる風は打ち寄せ
からみあう片方の指を握る
滴と滴のつらなるかたちを
かたくやわらかなかがやきのかけらを
わたしとけだものは握り返す



指が触れる土からも
指が触れる指からも
鏡は生まれ 生まれつづけて
向かいあう異なる光どうしが
かぞえ切れない数に分かれて
ひとつの川に溶け込んでゆく



からみあう指のひとつひとつが
いつか離れる日が来たとしても
わたしとけだもの
わたしとけだもの
知るはずもない川のむこうへ
とまどい
ほほえみ
ゆびきり
走り出す






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