初夏の白昼/麒麟
1
つぅっとタバコ、吸うたびに
大人になると、思っていたよ
つぅっとタバコ、吸うたびに
少し汚れて、しまったけれど
んーっとタバコ、吐くたびに
あの子が嫌な、顔してさ
んーっとタバコ、吐くたびに
魂がほら、ゆらゆらゆゆら
2
音が空気を、染めてしまって
うっとりしたら、うとうとしたり
音が空気を、染めてしまって
ゆったりなゆた、ゆらゆらなゆた
音が空気を、染めてしまって
時計がカチリ、目がパチリ
そんな空気は、忘れちまってさ
ふらふらふふふ、みな踊りだす
3
新しい、初夏の白昼
風は涼やか、薄着をくぐり
街は今、恋の季節に
乙女深々、薄着をまとい
男も少しは、ウソでもつかにゃ
夜花火、海辺にすわり
思い出が、夜に浮かんで
街は今、恋の季節に
神様が、切なさをまく
きっとあなたも、許してくれる
朝げなら、おにぎりでいい
灰が蒼で、くすんでるから
街は今、恋の季節に
あらわに素顔、朝日が染めて
小指を結んで、消えてゆくのだ
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