初夏の曖昧/麒麟
ざざー、、、ざぉぁざおお!ッ、ざざー・・・
灯台のあかりと
海面を漂う点滅がそれをからかう
・・・未完の夜と女の歌を飲み込んで
波毎に照る浜辺の稜線は
形を変えながら怯えていた
手に赤や緑の炎を掲げ若人は手を振る
遠くの誰かへ
水泡が弾け
ざざー、、、ざぉぁざおお!ッ、ざざー・・・
曖昧な夜を浮かべた
風に吹かれたのは釣り人だろうか
疲れてしまった女だろうか
目が切り取る風景には
始まりにすぎなかった
さよなら
ざざー、、、ざぉぁざおお!ッ、ざざー・・・
曖昧な夜を浮かべた
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