夜に溺れる/ミゼット
方へ逃れていく
わたしの周りで海は球体を保ったまま
ぶるぶると震え景色を歪ませる
妙に重い水は
もしかしたら水、じゃないかもしれない
だって月光を手繰って取れた海だし
わたしの下手な踊りでも取れた海だし
紛い物、というよりは
偽物だ、というよりは
そもそも
海なんて名前をつけたのはわたし
そう分かったけれど
球体から逃げ出せない
そっちのわたしはすっかり参ってしまって
徒にもがくばっか
こっちのわたしはというと
息ができないんだけれど
このままだと死んじゃうんだけれど
とりあえず、
お腹へったなあと思った
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