仕様書からの抜粋/たもつ
停留所の影
鳴くヒグラシ
模写の中で
+
石の階段
落下していく
ランドセルへと
+
夏時間の早朝
別に区分される
地下茎と言葉と
+
鳥の死は
抜粋されたまま
仕様書から
+
藻場に集まる粒子
告白の長い
期間が始まる
+
耳の種類を
書き足してしまう
多弁すぎて
+
穴を掘る子ら
背中に残る
鉱物の痕
+
植物は深夜
あなたの名前を
うまくごまかす
+
誰もいない屋上で
フェンスをゆらす
しあわせは形
+
悲しみ続ける
わたしたちがまだ
ものであるかぎり
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