宛名不明/ソラノツバキ
今日も宛名不明の封筒が
また一枚重なりました
もうそれは群れというよりは
山になっているばかりです
比べれば私など
都会生まれ田舎育ちで
都会に戻ったときには
もうそこは違っていました
だから綴ったことばたちは
私のところで笑います
今日は散歩に出かけました
街を歩くたびに
透明人間になった気分で
心地が良いです
途端に空を見上げれば
がむしゃらに絵の具を塗りたくったようで
喉が乾きました
少し筆をとりたいと思い
汚れた居酒屋を選びました
やがて月が出て
星が輝きました
星の気持ちを考えていたら
ヘリウムガスを飲みほして
関節の音が変わりました
ぷかぷかと浮いていきます
そわそわとしながらも
空に確立したくて
ああ、宛名を書き忘れてしまいました
私はもうすぐ
また私を受け取るのです
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