右手左手/パンダコッタ
洗濯洗剤の匂いがしてたんだと気付き
梅雨も嫌いじゃないななんて
そんなふりをした
少しづつ結んでって少しづつ解いていく
繰り返しの工程で
ら旋の糸が緩くなるのを
他人の僕が楽しんでいる
どうしようもない夜が
グラスの氷を溶かしていく
どうしようもなく
またなくはないななんて
至らないのは今に始まったことじゃない
タバコの煙がもたついて
風によってすぐ消える
鍵がされない
非常階段の踊り場で
どの階にも繋がるのに
誰ともすれ違わないことが
妙に可笑しかった
君を探しにいくことを
ためらわなかったなんて言えば嘘になる
でも別に
嘘つきだってもかまわない
その時の感情が
風化していくことに
慣れすぎた
なんて言えば
誰かが叱ってくれるのだろうか
なんて
右手と左手を繋いで考える
そう今だって
こうして嘘をついている
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