こそあど黙示録/草野春心
 
  たとえば真夏の海岸で
  きみの目は水平線を映し
  螺旋状の呼吸をする
  ……たどり着けない

(あれはいつの事だっただろう
 あの記憶がきみを過去へと誘う
 だがあの場所はもう既に
 きみの居るべきところではない)




  墓場には誰も眠らない
  きみの手が骨壷を抱く
  白い白い白い白い
  匿名

(いまここできみはこれを守り
 しがみついて生きている
 この思いはきみを時間へとつなぎとめる
 これだけがこのきみの全て)




  探し出してごらんよ
  夜を味覚だけでさまよって
  時代の十二指腸を
  
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