陰のひと/山中 烏流
ぎる
呟いたそのひと
その輪郭は
どこか、私に似ていた
(耳たぶが痺れるように
醒める、
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くるくるまわす
みずたまりがとぶ
なきがおをうつす
あおぞらにさく
うちおとさないで、と
いのりながら
くるくるまわる
ひとりごとのせなか
なきごえをとばす
にじのみそら
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爪の音がした
一度弾いてから
擦り合わせて
それから、そして
そして
あなたの指先は
水滴のように、冷たい
私のはというと
これもまた、等しく
冷たかった
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繋いでいたいのは
温かいものと
鮮やかなもので
それはきっと
あなたでは、なくて
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