陰のひと/山中 烏流
 
ぎる
 
呟いたそのひと
その輪郭は
どこか、私に似ていた
 
 
 (耳たぶが痺れるように
 
 
醒める、
 
 
******
 
 
くるくるまわす
みずたまりがとぶ
なきがおをうつす
あおぞらにさく
 
うちおとさないで、と
いのりながら
 
くるくるまわる
ひとりごとのせなか
なきごえをとばす
にじのみそら
 
 
******
 
 
爪の音がした
 
一度弾いてから
擦り合わせて
それから、そして
そして
 
 
あなたの指先は
水滴のように、冷たい
 
私のはというと
これもまた、等しく
冷たかった
 
 
******
 
 
繋いでいたいのは
温かいものと
鮮やかなもので
 
それはきっと
あなたでは、なくて




 
 
 
 
 
 

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