不感/草野春心
 


    もはや此処には
    やむことのない雨しか降らない



  きみの水晶体についた
  糸屑みたいな傷
  それは世界の
  傷だ



    もはや此処には
    やむことのない雨しか降らない



  足場は墓場
  通奏低音のような無感覚
  否定は否定
  何かを肯定するのはとても難しい



    もはや此処には
    やむことのない雨しか降らない



  あの1945年の夏、
  よりも、
  ずっと昔から……



    此処には
    やむことのない雨だけが在り続けている





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