烏/花田春菜
 
空の色がじんじんしていた
夕暮れ烏の渡りなど誰も彼も無視してた
こんなことってない
彷徨う影は蝙蝠ではなく烏だった

本当は真っ白なはずだった
染みなどただの一点もなかったはずだった
嘘をついた烏は影に落ちて
烏は烏に

それを運命だと笑ってくれるなら良かったのに
誰も彼も烏など烏など烏など無視して
それでも地球は廻っているらしいから
夕暮れを一人渡る

地上に落とした雫を誰も
知らなくていいなんてただの強がりだったから
蝙蝠ではなく烏だった

わたしは烏だったのだ


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