海面上昇4/rabbitfighter
地球最後の日の朝は穏やかに明けた。
夜の濃い青を朝日が少しずつ薄める。
初めに歌いだしたのは小鳥たち。
それからカラスが騒がしく、鳩がせわしなく鳴いた。
僕は空を、公園の欅の木々の間から眺めていた。
もはや水色にまで薄まった空、十三日目の月。
街が騒ぎ始める。
それから、
それから世界のどこかで、戦争はついに終わらなかった。
空が灰色に沈んでいく。
雷鳴の爆音を皮切りに激しく雨が降り始める、光の柱が灰色のドームを断続的に明るくさせる、君のワンピースは大聖堂のよう、モノクロの大理石にステンドグラス、地震に引き裂かれて大地がささくれると人が造ったどんな塔よりも高く高く競りあ
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