硝子の欠片/beebee
 

寄せては返す水際のガラス片に
白い吐息を吹きかける

そのガラス片は想う
地上の光り溢れる
酒場の裏道
夜の闇に
零れ落ちる
光りの水
夜空を映す
溜まり水に
通りすがりの乞食が顔を映す

水底(ミナゾコ)に
拡がる闇が
繋がっている

乞食は
毀(コボ)れたガラス片を掴み
酒場から溢れる光りにかざした
あたかも宝石を見るがごとき
その口元の綻びはしかし
通りすがりの貴人の気まぐれに
手酷い殴打に取り零す

それをまた流れ者が
ポケットに入れた
繋がって行く
ガラス片の伝説
やがて
手に入れた職人が
アザリアに埋め込んだと言う

口吻(クチヅケ)る乞食
密航船は嵐に沈む

碧に沈むガラス片
遠く流れて
繋がって行く伝説


『望郷 / うねる想い』…同じ系統の作品です。読んでみてください。
http://po-m.com/forum/i_doc.php?did=158664
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